【整備士】整備士の工具は自腹。会社から支給される工具はほんの僅かしかありません。

整備士

町で見かける自動車修理工場で一際目立つのが、赤や青色の工具台車では無いでしょうか。

しかし、その実態は会社からの支給品ではありません。

整備士の商売道具・無くては仕事が出来ない工具、そのほとんどを自腹にて購入し、揃えている人が大半では無いでしょうか。

私も、その内の一人です。

今まで2つの会社で働いて来ましたが、仕事をする上で必須の工具は、最初に少しだけ支給されるだけで、あとは全て自己負担にて購入しています。

会社からの支給工具

乗用車ディーラー

最初の会社は、乗用車ディーラーだったので、そこまでたくさんの工具が必要ではなかったので、少量の工具を自腹にて購入して仕事をしていました。

最初の内は、支給された工具のみでも仕事に支障が無いくらいは出来ますが、年数が経って、色々な種類の仕事をやりだすと、支給された工具のみでは、仕事が出来ません。

ちなみに最初に支給される工具は下記の通りになります。

  • メガネレンチ(8~27)
  • スパナレンチ(8~27)
  • ラチェット
  • ボックスショート(8~22)
  • ドライバー(+・-の小・中・大)
  • プライヤー・ニッパー・ラジオペンチ
  • ハンマー・モンキー

見ての通り、これだけです。インパクトレンチ等のエアーツールの支給はありませんでした。

タイヤ等、高トルクの物を外す時は、共用工具のインパクトレンチを使用します。

エアーラチェットもボックスの支給もありませんでした。

乗用車の修理だと、少し工具を買い足したら作業は出来ると思います。先輩は、自腹でエアツールを揃えていました。私は、3年しか乗用車の整備をしていないので、揃える前に辞めました。長くいれば必要な工具が出てくると思います。

トラックディーラー

2社目(今の会社)では、大型トラック・大型バスがメインの整備なりました。

乗用車ではなかったような整備が増え、色々なところが壊れます。

その不具合箇所を修理するのに、支給された工具だけでは到底作業が出来ません。

支給された工具は、ラチェットとボックスが無い代わりに、インパクトレンチとインパクト用のボックスが支給されるだけで、その他は乗用車とほぼ同じでした。

だいたい全体の工具の7割ぐらいを自腹にて購入して揃えました。

揃えなければ、仕事が出来ないので仕方なく購入しました。

最初に購入する工具

上記で説明した通り、支給された工具だけでは全く仕事をする事が出来ません。

最初のうちはどれを買ったらよいのか分からないと思います。なので、最初に購入する工具は安く・セットの工具が良いと思います。

どんな工具が必要かは色々な仕事をやっていかないと分かりませんので、とりあえず色々な種類が入っているセットの工具を購入するのがよいでしょう。

このような、工具箱に工具が入っているセットを購入し、後はエアラチェット等のエアツールを購入すれば、一応の仕事は出来ると思います。そこから、色々な種類の仕事を経験していき、本当に必要だと思う工具を購入していけばよいと思います。

整備工場によっては、先輩の工具を貸してくれる人もいれば、貸してくれず全て購入してこい、と言われる先輩もいるとは思います。優しく工具を貸してくれる先輩を見つけて、最初のうちは貸りながら作業をしていき、後々購入したらよいと思います。

自腹購入に対する疑問

毎回思う事なのですが、工具を購入する時に何故仕事をする為に、自腹にて工具を購入しなければならないのかと疑問に思います。

さすがに、高級な工具(MAC TOOLSSnap-on)の購入はダメだとは思いますが、一般的な工具メーカーの工具を購入する場合は、会社が負担するべきだと強く思います。

これから先もずっと、整備士を続けていくなら、自腹で購入しても一生使うので良いのですが、一生整備士をしない人にとっては、辞めればいらなくなる物になります。

会社によっては、自己購入した工具の一部を負担してくれたり、毎月何円までなら負担してくれる会社もあるようですが、私の会社ではそのような制度も無く、必要な工具は自分たちで購入しているのが現実です。

絶対にその工具がなければ、外す事が出来ない特殊工具の場合は会社が購入してくれますが、そうでない物の負担は無しです。

整備士の給料は知っての通り安いです。過去の投稿を参照して下さいね。

どこの修理工場にも、一人は工具マニアがいると思うので、本当に必要な時はその人に工具を借ります。

給料が安いにも関わらず、工具も自腹で購入しなければならない。

会社の利益を出す為に、自腹で工具を購入。なんか、矛盾していますね。

会社は利益を出してもらう為に、経費で工具を購入し、作業員に渡す。それで、利益が出たらまた新しい工具を支給する。そういった流れになれば、整備士も自腹での購入する事も無くなりますし、工具が色々を揃う事によって作業自体が早くなり、その分利益を生みやすくなる。

この流れが、一番会社にとっても整備士にとっても良いと思いますが、私の会社の上層部はそうは思っていないのが現状です。

これから、整備士になろうと思っている人は、会社に入社する前に、色々と調べてから入社しないと、後で後悔します。

会社見学を行えば、ある程度分かると思います。整備士が使用している工具が統一されているか、工具台車が一緒か、を確認するば分かると思います。後は、直接整備士に聞いてみるのも有りだと思います。

コメント

  1. 新人社長 より:

    色んな記事を読みましたが一番衝撃的だった記事がこれです。
    え?工具って仕事道具じゃん。事務員だってホチキスの針とかバインダーとか会社負担で買ってもらえるのに工具って買ってくれない世界なの?

    と思っていたら世話になってるメカニックにこの話してみると当たり前らしい。。。
    なんとそのメカニック達は軍手すら自己負担。ええ、速攻モノタロウで箱買いしてあげましたよ

    私はこれからそのメカニック達と整備工場を立ち上げますが工具は全部会社負担です。それが当たり前だと思います
    そしてお金を出すなら少しでもメカに楽をしてもらいたい。ラチェット一つでもギア数多ければそれだけ楽になる。必要な工具が揃っていれば余計な工夫や労力を使わず休めるしもう一台の整備にも入れる。メカが楽すりゃ利益が出る業界だと思うんだけどなぁ。。。

    今、一番興味あるのが「ミルウォーキーとかのインパクトレンチはメカに楽をさせられるか」です

    • guragura guragura より:

      コメントありがとうございます。

      私はこの業界に20年以上いるので、整備士の工具・軍手等の必要経費は自腹が普通だと思っていました。しかし、よくよく考えると会社の為に仕事をしているのに自腹で購入するのはおかしいとここ数年感じています。私の会社はやっと今年になって整備士だけ給料+軍手代等の為に数千円出るようになりました。それでも赤字ですが、出ないよりはマシなのかと思って、半分諦めています。

      新人社長さんのような考えの方が会社を運営すれば、整備士にとってはよい環境で仕事が出来ると強く感じました。

      コメントにある「ミルウォーキーのインパクト」は正直、使用した事はありませんし、周りでも使用している人を見たことはないです。