車を運転したことがある人だったら、メーターに水温計があるのを知っていますね。だいたい針が常に真ん中に来ていると思います。それが正常です。
車の適正水温は82℃です。この温度が一番、エンジンが力を発揮するように設計されていますので、82℃になるように、各装置が働いています。
しかし、何か故障があるとその針が「H」や「C」の方向へ行きます。
「H」側ならオーバーヒートで、「C」側ならオーバークールです。
それぞれの推定原因を解説します。
«車のクーリング装置»
まずは車を冷却している装置の説明します。
『LLC』
LLC(ロングライフクーラント、long life coolant)とは、車のエンジンを冷やす冷却水の事で、凍結しないように、不凍液の濃度を30%~50%にしています。
『サーモスタット』
エンジンの水路に取り付けられていて、水温が高くなると開いて、ラジエーターへ冷却水を循環し、エンジンを適切な温度に保つ役割。
エンジンの温度が下がると、閉じます。そして、また温度が高くなったら開きます。その繰り返しを行っています。
『ウォーターポンプ』
エンジンの冷却水の水流を発生されています。
ベルト駆動によってプーリーが回されて、プーリーと直結しているポンプが回る事によって、水流を発生させる仕組みなっています。
『ファン・ファンクラッチ』
エンジンの回転を動力源とする冷却ファンの事を「カップリングファン」と呼ぶ。
ファン(羽)とファンクラッチが一体になっている構造でウォーターポンプと連結された形で設置されています。
エンジンが冷えている時は、作動を解除し、エンジンが高温になってきたら作動し、ラジエーターに風を当てて冷やします。
最近では、電動式のファンも多く搭載されるようになりました。
『ラジエーター』
車の最前部に取り付けられていて、ファンと車のスピードにより風を利用し、冷却水を冷やしています。
アッパータンクとロワータンクとフィンで構成されています。
アッパータンクとロワータンクを細い管でいくつも繋ぐ事によって、風の当たる表面積を増やすことによって、冷却効率を上げて効率よく冷却水を冷やしていきます。
上記5つのどれが壊れても、エンジンが故障する原因になります。
この工具があるとオーバーヒートの原因追及に役に立ちます
«オーバーヒート»
エンジンの水温が115℃以上になると、ECU(コンピューター)が異常を検出し、ドライバーに警告を促します。メーターにいつもは点灯しないマークが点灯すると思います。
115℃にならなくても、100℃を超えたあたりからメーターの針が真ん中より「H」の方向へ動き出すと思います。
「H」まで行かなかったら大丈夫ですが、100℃を超えるという事は何が故障しているという事です。
そのままの状態で走り続けたら、エンジン自体が破損してしまうので、十分注意が必要です。早急に修理をする事をお勧めします。
原因その1.ラジエーターのフィン詰まり
一番多いオーバーヒートの原因はこれになります。
ラジエーターは車両の最前部に取り付けられている事がほとんどです。従って、走行中の埃や砂がフィンの間に入って、それが少しずつ溜まっていくと、ラジエーターにどんだけ風が当たっても冷却水が冷やされる事がないので、水温が上昇しオーバーヒートを起こします。
ひどり詰まりじゃなかったら、スチームによって清掃する事も可能です。100%取り除くことは不可能ですが、マシにはなりますが最終的には交換しなければなりませんね。
点検方法は簡単で、目視で埃が詰まっているのかを見るだけです。
原因その2.ファンクラッチの作動不良
ファンクラッチは温度が低い状態だとその作動を制限しますが、故障すると温度が高くなるとロックしないとダメなのに、ロックせず空転します。
空転する状態だといくらベルトで駆動してもラジエーターに風が当たりませんので、ラジエーターを冷やすことが出来ないので、オーバーヒートします。
点検方法は暖機された状態でエンジンをかけて、アクセルを吹かしてエンジン回転を上げた状態で、エンジンを停止させた時に、ファンがエンジンを一緒に止まればロックしています。エンジンが止まってもずっとファンが回り続けていればロックしていませんので、交換必要です。
原因その3.LLC不足
当然、LLCが規定量入っていなければ、十分にエンジンを冷やす事は出来ません。
LLC入っていなければ、漏れていないかの確認と吹き返しをしていないかの確認が必要です。
吹き返しについては過去投稿を参照して下さい↓↓↓
原因その4.ウォーターポンプ不良
プーリーは回っていても、その中のウォーターポンプとの軸が折れていれば、水流を発生させることは出来ません。
ごく稀に折れているウォーターポンプを見かけます。
可能性は非常に低いですので、何を交換しても直らない時には点検してみて下さい。
原因その5.インジェクター
インジェクターとは、燃料を高圧で燃焼室に噴霧する部品です。
このインジェクターが異常燃焼を起こしていると、エンジン本体の温度が異常に上昇する事によって、冷却性能の限界を超える事によって、オーバーヒートを起こします。
この部品は非常に部品代が高いので高額修理になってしまいます。が、これといった判断基準が無いので、最後に交換になりますね。
«オーバークール»
オーバークールは水温が70℃を下回っている状態です。
エンジンは70℃以上になるまで、自動で暖機を行いますがオーバークールの場合は70℃を超えないので、常に暖機状態になっています。
その状態が続くと、燃費が悪くなり、暖房も効きませんし、排気ガスの状態も悪化し、「DPR・DPF」に悪影響が出ます。詳しくは過去投稿を参照して下さい。↓↓↓
原因その1.サーモスタット
サーモスタットの正常な働きは、温度が高くなると開いて、温度が低くなると閉じる。
しかし、だいたい壊れる原因は常に開いた状態になっている事です。
常に開いている状態ですので、冷却水が低くても、高くてもラジエーターへ循環されてしまって、冷やされてしまいます。
どんなに、アクセルを吹かして温度を上げようとしてもすぐに水温が下がってしまいます。
原因その2.ファンクラッチ
ファンクラッチが常にロックした状態になっていると、冷やさなくても良いので、冷やしてしまって、冷却水の温度が低下し、オーバークールの状態になります。
«まとめ»
オーバーヒートにしてもオーバークールにしても、エンジンに良い影響は出ません。
水温計の針が常に真ん中の状態をキープしていなかったら、何かしら故障している可能性が高いので、一度修理工場へ、車を持って行く事をお勧めします。
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