トラックのジャッキアップの方法とリジットラック(ウマ)のかけ方。

整備士

トラックのジャッキアップは整備をする上で欠かす事の出来ない作業になります。

※ジャッキアップとは:車のタイヤを地面から浮かせて車の下に入って整備をしやすくしたり、タイヤを外せる状態にする事

ジャッキアップの注意点・ジャッキのかける位置さえ間違わなければ、そこまで難しい作業ではありません。

この記事を最後まで読んでもらえたら、車の構造がしっかりと理解でき、安全にジャッキアップが出来るように解説していきます。

参考までに、私の経歴は乗用車・トラック・バスの整備士を15年以上続けている現役の整備士です。

ジャッキアップのやり方

トラックは乗用車のように、目に見えるジャッキアップポイントはありません。

なので、車種・型式によって多少ジャッキアップポイントが違ったり、リジットラックをかけるポイントが違ったりするので、まずは構造をしっかりと理解してジャッキアップをする事をお勧めします。

「構造」

【フロント】

フロントのアクスルのタイプは2種類あります。

:独立懸架式(どくりつけんかしき)

独立懸架式サスペンションとは、別名「インディペンデント・サスペンション」とも呼ばれる車のサスペンションの形式になります。

左右の車軸が独立して上下するのが特徴で、路面の凹凸に対する追従性が高く、乗り心地・操縦安定性に優れています。

欠点は、高コスト・耐久性に弱いのがあげられます。

:車軸懸架式(しゃじくけんかしき)

車軸懸架式サスペンションとは、別名「リジットアクスル・サスペンション」とも呼ばれる車のサスペンションの形式になります。

左右の車軸が一本の軸で繋がっているのが特徴で、低コスト・耐久性に優れていて、コンパクトでスペースが有効に使えます。

欠点は、乗り心地が悪いのがあげられます。

【リヤ】

基本、リヤはフレームジャッキで上がるか、ガレージジャッキで上げてからフレームに馬をかけてます。

中型・小型トラックの場合は、フレームジャッキが入らなかったら、一度デフの下にガレージジャッキをかけて上げます。大型車の場合は、フレームジャッキが入らないことはないのでそのままあげていきます。

「ジャッキアップポイント」

上記の内容で構造を理解しましたね。次はガレージジャッキもしくはリフトで上げるポイントを解説していきます。  

【フロント】

フロントは構造に2パターンあると説明しましたよね。ガレージジャッキ・リフトをかけるポイントも2パターンあります。

:独立懸架式

独立懸架式は、その種類・車種によって若干、ガレージジャッキ・リフトをかける位置が変わってきます。

一例としてリフトで上げる時は下記の写真のように、しっかりとしたフレームにリフトをかけて下さい。

ガレージジャッキで上げてからリジットラックをかける場合は、真ん中にガレージジャッキのお皿をセットして上げていきます。出来るだけ真ん中にセットして車が傾かず、真っすぐに上げっていっているかを確認しながら上げていってください。

馬が入るくらいに上がったら、これも車種によってかける位置が異なりますが、基本はフレームにかけるように心がけて下さい。もし、フレームにかける箇所がなければ、フレームに繋がっていて、尚且つ強度のある個所にセットしてから作業を開始して下さい。

:車軸懸架式

車軸懸架式でリフトで上げる場合は、下記の写真のように上げていってください。リーフサスペンションのUボルトの下辺りで上げていくのが一番安定します。

ガレージジャッキで上げていく場合は、上記の写真の↑矢印の所にガレージジャッキのお皿をセットして上げていき、車が傾かず真っすぐに上げっていくのを確認しながら上げていきます。

少しずれると斜めに傾きながら上がってしまうので、しっかりと真ん中にセットしてから上げていきましょう。

馬が入るくらいに上がったらリフトのツメをかけたのと同じ場所のUボルトの下辺りにリジットラックをセットしジャッキを下げていき、しっかりとアクスルが乗ったのを確認してから作業を開始しましょう。

【リヤ】

リヤは上記でも説明した通り、基本はフレームジャッキで直接フレームにかけて上げていきます。

※リフトの場合

中型車・小型車の場合でフレームジャッキが入らなかったら、デフの下でガレージジャッキで上げていきます。

デフでガレージジャッキで上げていく場合は、車が平行に上がっているのかをしっかりと確認しながら上げていきましょう。車が傾いたままあげていってしまうと、最悪の場合車が横転してしまい、もし仮に人がいれば死亡事故に発生してしまいますので、十分に注意してあげていきましょう。

上記の写真のようにフレームジャッキもしくはリジットラックが入るくらいに上がったら、しっかりとフレームにかけて下していき、車体が安定しているかを確認してから作業を開始しましょう。

ジャッキアップをするにあたっての必要工具

上記で説明した通り、車をジャッキアップするにはいくつか工具が必要になります。数えだしらキリがないくらいの種類があるのでいくつかピックアップした工具を紹介します。

「ジャッキ」

まず、必要になってくるのがジャッキになります。これがないと上げる事が出来ません。扱っている車種によって荷重が違ってくるので、整備する車の荷重を考えてジャッキを選択して下さい。

まずは2tクラスのジャッキです。

乗用車じゃないので、それなりの重量もありますので安物だと使用に関して怖い部分はあります。なので、しっかりとした物を購入する事をお勧めします。

上記が大型車用になります。大型車はかなりの重量があるので大きなジャッキが必要になってきます。

ジャッキは色々なメーカーが出しているので、許容荷重をしっかりと確認して車にあったジャッキの使用をしましょう。小型用と大型用の2台あると安心して作業が出来ると思います。

「フレームジャッキ」

これも色々なメーカーが出しています。あまりネットでは売られていないので直接メーカーに問い合わせするのも良いかもしれませんね。

移動式大型車のリフトを取り扱っているのは、上記の長崎ジャッキやイヤサカ安全自動車といったメーカーがありますので、参考にして下さい。

「リジットラック」

ジャッキで上げた後に、車を安定させるためにリジットラックが必要になります。ジャッキのみで上げた状態だと安定しませんので、危険ですから必ずリジットラックを使用しましょう。

リジットラックの種類も小型車用から大型車用まであるので、その車の荷重を考えてリジットラックを選択して下さい。

「その他」

ジャッキアップする工具ではないのですが、車を少し上げて作業をしたい時やオイル交換する時に役に立つのがスロープ台になります。

スロープ台なのでタイヤを外したりする事は出来ませんが、構内や駐車場などで少し作業するには最高の工具になります。スロープ台で車が少し上がっただけでも作業のやりやすさは格段に上がります。

まとめ

トラックに限らず、乗用車でも整備するにはジャッキアップをしないと出来ない作業はたくさんあります。

車を上げる際は、荷重と重心をしっかりと理解した上で行わないと、予期せぬ重大災害が発生する危険があります。

しっかりとお金をかける所はかけて工具を一通り揃えてからジャッキアップ等の作業を開始しましょう。

コメント

  1. 新人社長 より:

    リクエスト記事ありがとうございます!!

    何度も読んだのでメカニック付き添いの上で挑戦してみます!
    私が車体を上げてる間にメカは道具を用意できるのが理想の流れです!!