車に使用されているエンジンオイル。その違いと役割等を詳しく解説していきます。
私は20年余り整備士をしている者になります。乗用車~大型車・バスまで幅広く整備をしてきました。(経歴)
結論:同じオイルでもその成分は全く違います。
何がどう違うのか解説していきます。この記事を最後まで読めば、エンジンオイルの違いや役割を理解出来ると思いますし、自分の車に合ったオイルは何なのかが分かります。
1.エンジンオイルとは?
まず、エンジンオイルとは何か?男の人や車が好きなら理解している人も多いと思いますが、一般の人や女の人は何?って感じの人も多いかと思います。
色々な役割がありますが、重要な役割は「潤滑油」としての役割です。
エンジン内部はピストンやベアリング・メタルのように金属同士が高速で回転し、車の動力を発生させています。その高速で回転している金属部品は潤滑油がなければ金属同士が擦れて摩耗し、すぐに焼き付いて破損してしまいます。
その摩耗を防ぐ為に「エンジンオイル=潤滑油」が必要になります。
これはエンジンに限らず、金属製品が回転している箇所には必要です。
2.オイルの違いとは?
では、オイルに違いはあるのか?ガソリンを使用している車と軽油を使用している車ではオイルの種類が違います。
①エンジンの違い
まず、大きく違うのが使用している燃料の種類が違います。
【ガソリンエンジン】
ガソリンエンジンの使用している燃料は「ガソリン」になります。
高出力を発生させる事ができ、引火しやすく揮発性が非常に高いのが特徴。
主に乗用車に使用されています。
【ディーゼルエンジン】
ディーゼルエンジンの使用している燃料は「軽油」になります。
高いトルク(力)を発生させる事ができ、自然着火がしやすいのが特徴。
主にトラック・バスに使用されています。しかし、近年では乗用車にも多くディーゼルエンジンが搭載されています。
②燃料に含まれている成分
燃料(ガソリン・軽油)に含まれている成分が違う為に、オイルの種類が変わってきます。
燃料の中には、硫黄分が含まれています。この硫黄分は燃焼する事によって硫黄酸化物となって、エンジンにとってはあまり好ましくないゴミとなってしまいます。
このゴミの事を俗に「スラッジ」と呼びます。
硫黄分がガソリンエンジンよりもディーゼルエンジンの方が遥かに多く含まれています。
硫黄分だけじゃなく、炭素・リン・窒素など燃料によって酸化反応をおこしスラッジが発生してしまいます。このスラッジの発生がディーゼルエンジンの方が多いのです。
この酸化反応を起こしてしまったスラッジを中和する為に、ディーゼルエンジン用のオイルには清浄分散剤を多く含んだオイルを配合する必要があります。
だから、ガソリンエンジン用オイルとディーゼルエンジン用オイルが存在します。
代用として、ガソリンエンジンにディーゼルエンジン用のオイルを使用出来ますが、その逆のディーゼルエンジンにガソリンエンジン用のオイルを代用する事が出来ます。
まぁ、ガソリンエンジンにわざわざディーゼルエンジン用のオイルを使用する人もいないとは思いますが、あくまで応急・代用としてなら使用する事が出来ます。
ディーゼルエンジンには必ず、ディーゼルエンジン用のオイルを使用しましょう。
最近では、ガソリン・ディーゼル兼用のオイルも存在します。
3.オイルの役割とは?
では、エンジンオイルの役割を上記で説明した役割・それ以外の役割も、もう一度解説していきます。
①潤滑油
上記で説明した通り、潤滑油としての役割です。
エンジンオイルの最大の役割がこの潤滑作用になります。なので、しっかりと規定量を入れていく必要があります。
潤滑しなくなれば、金属同士が摩擦を繰り返し確実にエンジンが破損してしまいます。
②清浄作用
エンジン各部にオイルが流れる事によって、そこに溜まっているスラッジやゴミカスをオイルに乗せて奇麗する働きがあります。
この作用のお陰でエンジン各部は常にきれいな状態を保つことが出来ます。
この作用がなければ、エンジン内部の油路はすぐにスラッジ・ゴミ等が溜まってしまい詰まりが発生し、故障の原因につながります。
③冷却作用
エンジン内部は燃料が爆発する事や金属が高速回転する事によって、高温になっています。
その熱をエンジンオイルによって冷却しています。もちろん、メインは冷却水(LLC)で冷却していますが、エンジンオイルでも冷却する作用をしています。
④気密作用
エンジン内部のピストンとシリンダー(燃料が爆発する箇所)の間には、クリアランスがあります。
このクリアランスが無ければ、ピストンがスムーズに動くことが出来ませんが、気密性が落ちてしまいます。
気密性が落ちてしまうと、燃焼効率の低下や燃料ガスが外へ排気されてしまいます。
このクリアランスにエンジンオイルが入る事によって、気密性の向上を行っています。
⑤防錆作業
エンジン内部には少なからず、水分が存在します。
水分が入ると錆の発生原因になってしまいます。
エンジンオイルによって油膜を作る事によって、各パーツをコーディングし錆の発生を抑制しています。
4.まとめ
ガソリンエンジン・ディーゼルエンジンのエンジンオイルの違いを理解できましたか?
基本的には、エンジンオイルとしての機能は同じですが、燃料の違いからくる成分量が違う為にガソリン用・ディーゼル用と分かれている事が分かったと思います。
後は、定期的にエンジンオイルの交換をすれば、大丈夫です。過去のブログを参考にしてみてください。
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