乗用車ではあまり見かけませんが、トラック・バスの場合は左右どちらかに傾いて走行していく車両を見かける事があると思います
何が原因でそうなっているのか?
原因はサスペンション系統の故障にあります
サスペンション系統に何らかの故障・不具合・損傷がある場合、車高が左右で違ってきて傾いてしまいます
この記事では車高の傾きの原因について解説しています
簡単に、この記事を書いている私は整備士歴20年の今でも現役の整備士をしている者です。転職経験もあり、乗用車~大型車まで幅広い車種の整備をしてきました。今はバスのメインに整備をしています(詳しくはこちらを参照して下さい)
では、解説していきます
【サスペンションとは?】
まず、サスペンションとは何か?
車体のフレーム(骨格)と足回り(タイヤや車軸)を繋いで支えている部品になります
走行中の路面からの衝撃を吸収したり、乗り心地を良くしたりする装置になります
そのサスペンションにおいて、大きく分けて2パターンあります
①リーフ式
昔から使われている代表的なサスペンションになります
板バネと呼ばれる鉄の板を何枚も重ねて、それによって衝撃を吸収しています
強度が高く、壊れにくいのが特徴になっている
その分、乗り心地は悪いです
②エアサスペンション式
エア圧によって、ゴムを膨らませるタイプになります
ゴム製の部品に圧縮空気を送り、ベローズと呼ばれる提灯のような物を膨らませる事によって車高の高さを調整しています
乗り心地が良く、車高が自由に調整出来るのが特徴になっています
ゴム製品になっているので、エア漏れ等の故障がおきやすいです
【傾く原因は?】
サスペンション系統の何らかの部品・センサーの損傷・故障によって傾いてしまいます
原因①:センサー
リーフ式では付いていませんが、エアサスペンション式には必ず付いている車高センサーです
エアサスペンション式では一番多い不具合になりますね
車両の高さをセンサーとロッドによって監視し、必要に応じてエアを入れて車高を上げたり、逆にエアを抜いて車高を下げたりします
このセンサーが間違った信号をECU(コンピューター)に送ってしまう事で、実際には車高は水平なのに、傾いていると認識しエアの送ったり・抜いたりしてしまいます
その結果、車両は左右どちらかに傾いてしまいます
原因②:部品の損傷
車両を支えている部品が損傷すると傾いてしまいます
リーフ式なら板バネが折れる事によって傾き、エアサスペンション式ならベローズよりエア漏れする事によって傾きます
リーフ式の場合は折れたら常に傾いていますが、エアサスペンション式の場合は酷くなければ走行中は水平でしばらく車両を止めたら傾いていきます
ただ、エアサスペンション式の場合はエア漏れが酷いとエアが溜まらず走行不能になる可能性もあります
原因③:ECU(コンピューター)
これもエアサスペンション式のみですが、ECUが壊れると車高が傾く原因になります
上記①のセンサーの値をECUは記憶していますが、その値が何らかの原因によって狂ってしまう事があります
そうなったら、いくらセンサーが正常でも車高が完璧に水平になる事は難しいと思います
最近の車は、故障診断機を接続しパソコンによって調整していきます
なので、ECUに記憶させている車高位置を再調整しなければダメです
ECUに不具合があれば、その調整も出来なくなります
原因④:ブッシュ
これは、リーフ式のみになります
何枚かの板バネによって構成されているリーフですが、その内の1枚だけフレームと繋がっている所があります
そこに、ブッシュと呼ばれる部品が付いています
そのブッシュが損傷していけば、傾く原因になります
自分のトラックをグリースアップした事のある人なら分かると思いますが、しっかりとグリースアップをしとかないとグリースが入らなくなってしまいます
その結果、ブッシュの早期摩耗に繋がります
【まとめ】
車両が傾いているという事は、何らかの不具合がおこっている状態になります
すぐに、整備工場へ持って行くほどではないとは思いますがそのまま放置し、車を使用し続けるのは止めましょう
リーフ式なら1枚の交換で済む所が2枚も3枚も交換になってしまいます
エアサスペンション式なら最悪の場合は、走行不能になってレッカー移動になってしまいます
そうならない為に、しっかりと運行前に点検を行いましょう
運行前に車両が傾いていないか?エアが漏れていないか?その確認をするだけでも全然違ってくると思います
車高が傾いていると予期せぬトラブルにある可能性もあるので、安全・安心に運行する為にもやはり日々の点検・メンテナンスを実施しましょう
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