最近、めっきりOH(オーバーホール)の作業が減りましたね。整備士を10年以上していますが、エンジン・トランスミッション・デフといった感じに、昔は良くOHをしていましたが、最近は本当に、ASSY交換が増えたと感じますね。昔だったら絶対にOHしていた作業も、ASSY交換に変わって来ていますね。ASSY交換・OHどちらにも良い点・悪い点があるので解説します。
<ASSY交換>
昔は、よく色々な装置のOHの作業を行っていましたが、最近は本当にASSY交換が多いですね。何故、OHよりもASSY交換が増えたのかを考えてみました。
【良い点】
- 作業時間の短縮
- OHよりもミスが少ない
- 誰にでも交換が可能
・作業時間の短縮
OHするよりもASSY交換の方が作業完了までにかかる時間が圧倒的に早いですね。ASSY交換の場合は、付属の部品数点を付け替えるだけなので、取り外してから取り付けまでの時間がそれだけ、早いです。なので、全体の作業時間の短縮になります。
・OHよりもミスが少ない
ASSY交換だと、すでに組み上がっている状態の物を組み付けるだけなので、取り付け作業に問題がなければ、ミスる事は無いです。
・誰にでも交換が可能
取り外す事が出来れば、誰にでも交換作業が出来ます。さすがに、取り外す事が出来なければ、交換作業は出来ません。
【悪い点】
- 交換費用が高い
- 整備士の技術が低下していく
・交換費用が高い
ASSY交換するという事は、正常で交換しなくても良い部品まで交換する事になるので、それだけ交換費用が高くなります。
・整備士の技術が低下していく
ASSY交換ばかりしていると、分解修理する事の出来ない整備士が増えていくという事です。OHするにはそれだけ、知識と技術が必要です。ASSY交換しかしていない整備士だと、その知識と技術が身に付かなくなるからです。
<OH作業>
【良い点】
- 交換費用を抑えられる
- 整備士の技術力の向上
・交換費用が抑えられる
OHの場合は、不良個所のみを交換出来るのが良い点ですね。OHの工賃と不良個所の部品交換の費用になるので、ASSY交換に比べて、費用が抑えられます。
・整備士の技術力の向上
OH作業は、それなりの技術と知識が必要になってくる作業になりますので、整備士の技量が無ければ、OH作業を行う事が出来ません。先輩より代々教えられていくものなのですが、ASSY交換ばかりしていたり、教えられる前に先輩が辞めてしまったりすると、必要な技術と知識の継承が途切れてしまいます。私の職場でも、正直OH作業をしっかりと出来る整備士は、悲しいですが片手で数える程しかいないように感じます。技術力が目に見えて低下していますね。
【悪い点】
- 作業完了までに時間がかかる
- 技術と知識が無ければ、ミスに繋がる
・作業完了までに時間がかかる
OH作業になると、全てを分解して、不良個所を見つけて、部品を取り寄せて、組み付けて、取り付ける、といった作業工程になるので、ASSY交換に比べて、2倍、3倍以上の作業時間になってくるので、それだけ長い間車を止めないとダメになってきます。会社によっては、1~2日程しか車を止めれない所もあったりするので、そういった会社の車ではOH作業は厳しいですね。
・技術と知識が無ければ、ミスに繋がる
OH作業をするには、技術力も必要ですが、もっとも重要なのは知識です。どのOH作業でも注意するべきポイントや、確認しないとダメなポイントがあるのですが、修理書に記載されていない事もあったりするので、その知識が無ければ、それだけミスも増える事になります。
<まとめ>
【お客様の立場】
お客様の立場だと、何を選択するかだと思います。値段が高くても、時間を優先するのなら、ASSY交換、修理代を安く済ませたいなら、OH作業といった感じに、お客様自身で選んで、修理工場へ依頼したら良いと思いますが、傾向的にはASSY交換を勧めてくると思いますので、しっかりと考えて判断して下さい。
【整備士の立場】
整備士の立場から言わせてもらえば、OHです。ASSY交換の作業は、整備士の技術の向上にはならないので、自分の技術力の向上を目指したいのなら、OHをお勧めします。整備士がOHかASSY交換を選べるものでは無いですが、もしOH作業があれば積極的に行った方が良いと思います。技術と知識が身に付けば、これから先もずっと役に立ちます。
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