車のLLC(冷却水)は定期的に交換が必要なのか?交換するならいつが良いのか。

整備士

車のLLC(冷却水)は使用していると徐々に劣化していくので必ず交換が必要です。

しかし、いつ交換したら良いのか分からない人も多いと思います。一般の人がよく耳にするのは、車検時などの車を修理・点検に出した時に、修理工場の人に「交換しますか?」と尋ねられる事があると思います。

分からない人にとっては、修理工場の人から勧められるので交換している人も多いかと思います。実際、私も交換しますか?とお客様に尋ねる事がありますね。

では、なぜ定期的に交換が必要なのかを現役の整備士が詳しく解説していきますね。

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LLCとは?

【名称】

正式名称「ロング・ライフ・クーラント」。略して「LLC」となっています。近年ではLLCよりも高機能の「スーパーLLC」が出てきました。

【役割】

そもそもLLCはどんな役割をしているのか、大きく分けて3種類の役割があります。

その1.冷却作用

車はエンジンがかかると燃料を爆発させて、動力を得ています。その爆発を繰り返す事で、エンジン各部が高温になっていきます。その熱を冷やす為に、エンジンの内部の通路(ギャラリー)にLLC(冷却水)を循環させて、熱を奪い車の前側に設置されているラジエーターでその熱くなったLLCを冷やして、またエンジン内部に戻って熱を奪う、というのを繰り返しています。

昔の車だったり、バイクだと空冷なのでLLCは使用していませんが、今の四輪駆動車はほとんど全てにLLCがわれています。

その2.凍結防止作用

なぜ、普通の水ではなくLLCが必要なのか?それは、水だと氷点下になると凍ってしまうからです。

LLCにはエチレングリコールやプロピレングリコールといった物が含まれている事によって、凍結する温度を低くする事が出来ます。

LLCはその濃度によりますが、氷点下になっても凍る事はありません。LLCと水を混合されることによって、LLCの濃度が決定します。水10㍑に対してLLCが1㍑なら濃度は10%になります。

だいたいですが、LLCの濃度が30%あれば-15℃まで凍結しません。50%で-36℃。住んでいる所やトラック・観光バスならよく行く地域の気候を考慮して濃度を設定して下さい。まぁ、-36℃になる地域を探すほうが難しいと思いますので、だいだい40%前後にする事をお勧めします。

たまに、原液100%にしている車を見ますが、濃度を濃くすればするだけ性能がアップする訳ではありません。濃度60%の超えるぐらいからそれ以上の濃度は逆に性能が下がってしまうので、MAX濃度60%ぐらいまでにしましょう。全く意味が無いので。

その3.防錆作用

なぜ、水では無くLLCを使用するのか、それはただの水だとエンジン内部・ラジエーター等の水路が錆てしまうからです。

LLCには、防錆剤が含まれていますので、防腐剤入りの液体が冷却水路やエンジン内部を循環するこで錆が発生するのを防いでくれます。

一度、錆びついてしますと完全に取り除くのは不可能です。水回りを交換するしか完全に取るのは無理です。錆びついてしまうと水路が詰まってしまってヒーターが効かなくなったり、オーバーヒートをおこしてしまいますので、錆びさせないように必ずLLCを入れましょう。

【種類】

種類はLLCとスーパーLLCの2種類があります。

その1.LLC

赤色や緑色に着色されたクーラント液になります。

寿命は2~4年程度なので、乗用車なら車検毎か2回目の車検時に交換するのがベストですね。トラックやバスなら距離も走りますし毎年の車検時に交換するが良いでしょう。

その2.スーパーLLC

ピンク色や青色に着色されたクーラント液になります。

寿命は8~10年とかなり長いので乗用車なら10年間乗って1回交換する程度になりますね。トラックやバスなら距離も走りますので、回目ぐらいの車検時に交換するのが良いでしょう。

交換時期

【寿命】

上記で記載した通り、LLCもスーパーLLCも寿命があります。使用限度を超えた場合は交換が必要です。

いつ交換したのか、分からない場合はまずは今乗っている車の冷却水が何色なのかを確認してLLCかスーパーLLCなのかをみて、交換の目安にして下さい。

【色が無くなっている】

赤・緑・ピンク・青と、いった具合にLLCは着色されていますが、LLCが劣化するとその色が無くなって、水になります。

そうなってしまうと、LLCの役割を果たしていないので交換が必要です。

LLCのサブタンクを確認すればすぐに分かりますので、定期的に確認しましょう。

【修理時】

水回りを修理をしているという事は、その部品が不良だったので交換しているという事ですよね。その部品のゴミや鉄粉がLLCに混ざっているとまた、同じ事を繰り返す可能性があるからです。

特に水回りの修理をした時には、基本的に交換をお勧めしています。ラジエーター交換やエンジンOH時やヒーター効き不良の修理をした時。

なので、水回りの修理時にはLLCの交換と水路の清掃をお勧めしています。

まとめ

LLCやスーパーLLCは、使用限度があります

しかし、車検毎に交換する必要はなく、修理時や色が抜けてから交換しても個人的には良いかと思いますが、心配な人は使用限度の範囲内で交換する方が良いかもしれませんね。

絶対にやってはいけないのは、水のみを入れる事です。エンジン内部やラジエーターといったら水路が錆びてしまうからです。本当に錆びてしまうと取り返しがつきませんので、注意してましょう。

冷却水を交換するにもお金がかかってきますので、無駄な出費を防ぐ為にも、上記に記載した事を理解していれば、適切な時にLLCの交換を実施出来ると思いますので、しっかりと覚えておきましょうね。

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