車に乗っているとメーター内に「冷却水不足」「水量不足」といった警告が出る場合があります
これはエンジンの冷却水(LLC)が減っているという警告になります
正常な車であれば、エンジンオイルのように増えたり減ったりしません。常に一定の量が入っているはずです
それが、なんらかの原因によって減っている状態になります
何が原因でこのような事が起こるのか詳しく解説していきます
簡単に、この記事を書いている私の経歴を紹介します。約20年整備士をしています。乗用車・大型車・バスといった様々な車の整備に携わってきました。転職も1度経験して現在は大型車をメインに整備を行っている現役の整備士になります。整備に関する様々な投稿を行っていますので、他の投稿も参照してみて下さい。(おとさんブログ)
では、下記より説明していきます。この記事を最後まで読んでもらえたら冷却水不足とは何かを理解出来ると思います
【冷却水(LLC)とは?】
まずは、冷却水とは?何か、エンジンがかかっている状態だと常に燃焼爆発を繰り返し行っています
その熱を冷やす為に、冷却水がエンジン各部の水路へ流れていって熱を吸収しています
さらに0℃を下回っても凍結しないように凍結防止とエンジンの冷却水路がサビないように防錆効果もあり、長期間使用する事が可能な不凍液になります
エンジンは82℃が一番良い温度とされているので、その温度になるようにラジエーターやサーモスタットといった部品によって温度調整がされています
一般的に、整備士は冷却水というよりLLCと言いますね
LLCとは、「ロング・ライフ・クーラント」の略称です。
水と混ぜて濃度を決めますが、だいたい30%~50%程度の濃度なら問題無いと思います。極寒の地域の場合だと濃度を濃くしとかないと凍ってしまいますが、その他の地域なら大丈夫だと思います
濃すぎても薄すぎてもLLCの効果を発揮しませんので、定期的に点検・交換をして適切な濃度を保つようにしましょう
【何故漏れて来るのか?】
冷却水は、エンジンの各部へ送られています
常に圧力がかかっている状態です。車のラジエーターキャップを開けた事がある人なら分かると思いますが、キャップが開いた瞬間に圧力が抜ける音がすると思います
エンジンがあったまっている状態で開けたら冷却水が噴き出てきます。それぐらい圧力がかかった状態になっています
エンジン各部へは、ホースやガスケット・液状ガスケット・Oリング等によって取り付けられていますが、年数と共に劣化してきます
それによって、圧力に耐えられなくなって漏れて来ます
【漏れやすい箇所とは?】
エンジンオイル漏れ同様に、冷却水も漏れやすい箇所というのがあります。代表的な箇所をいくつか紹介します
その1:ラジエーターホース
これが圧倒的に多いです。エンジンとラジエーターを繋いでいるホースになります
パイプにホースが差さっていてバンドで締めています
このバンドが熱膨張や経年劣化によって締付力が落ちる事によって漏れてきます
バンドを締め付けるだけで漏れが止まる場合もありますが、ダメな場合はホースとバンドの交換になります
その2:ラジエーター
冷却水を冷やしている、ラジエーター本体より漏れる場合があります
ラジエーターASSY交換が必要になり、ホースように締め付けたら止まるというものではありません
ラジエーター漏れが酷いと、自走で走る事も出来ずレッカー移動になる場合もあります
その3:ウォーターポンプ
エンジンの水流を発生させているポンプになります
ウォーターポンプは本体より漏れる場合もありますし、取り付け面より漏れる場合もあります
本体から漏れていれば確実にASSY交換しないとダメです。取り付け面の場合は液状ガスケットの交換で直ると思いますが、だいたいはウォーターポンプも一緒に交換しますね
なぜなら、ウォーターポンプ自体が簡単に交換出来るタイプでは無いからです(車種によりますが)
二度手間を考えるとウォーターポンプ付近が漏れていれば、ポンプの交換と液状ガスケットの塗りなおしの作業になると思います
その4:各部のホース
エンジンより各部に冷却水を送る為のホースです
ヒーター系統や尿素系統・EGR系統等へ送る際にエンジンよりホースによって組付けられています
そのホースが振動や経年劣化によって亀裂やバンド不良で漏れてしまいます
その5:シリンダーヘッドガスケット
シリンダーブロックとシリンダーヘッドの間に挟まっているガスケットになります
エンジンの熱によって、熱膨張と繰り返す事によって劣化して漏れて来ます
これは、冷却水よりもエンジンオイルが先に漏れてくる方が多いとは思いますが、冷却水だけが漏れる場合もあります
【そのままにしているとどうなるのか?】
冷却水漏れをしている状態で走行し続けると、最悪の場合はエンジンが破損してしまいます
なぜなら、上記でも説明しましたがエンジンは常に82℃になるように調整されていますが冷却水が不足する事によって、エンジンを冷やす事が出来ずオーバーヒートをおこしてしまうからです
エンジンが高温になると各部が損傷してしまいます。特にメタル系統が弱いのですぐに焼き付いてしまいます
オーバーヒートをおこさないように常に水温ゲージを確認して、冷却水不足が点灯したらすぐに水を足していれば、応急的には走行は可能な状態です
しかし、この状態がずっと続け冷却水の濃度も下がってくるので凍結・サビが発生してしまいます
長い間水漏れをしているのを分かっていて水を足しながら走行していた車両は、冷却水の水路がサビてしまい、いくらLLCを入れてもサビ水になってしまい、ラジエーターやヒーターコアが詰まります
一度サビてしまうと完全にキレイする事は出来ません。ラジエーターやヒーターコアなら交換するばよいですが、エンジンを交換となるとなかなか厳しいと思います
なので、冷却水が漏れていても応急的には走行は可能ですが、早期修理が必須になると思います
車をこれからも長く使用する予定ならしっかりと修理・メンテナンスをする事をお勧めします
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