ネジ山が無くなってしまった・潰れてしまった時の対処方法を現役のトラック整備士が解説していきます。

ボルトのネジ山がオーバートルクや経年劣化・腐食等によって、完全に潰れてしまった場合、どのように修理をしていけば良いのか、それは「ヘリサート」と呼ばれる修理キットによって修理します。

私自身、15年以上続けている現役の整備士です。全てのネジ山が修理できる訳ではありませんが修理できる物も数多くあります。ASSY交換せずに修理した方が、安く・早く作業が終了しますので、少しでも参考にして下さい。

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必要工具

まず絶対に必要な工具が下記の物になります。

  • ヘリサート
  • ヘリサート専用ドリル
  • ヘリサート専用タップ
  • ヘリサート挿入工具
  • ドリル(エア・電動

の上記5つは必ず無いと、修理する事は無理だと思います。ドリル以外は、セットで売っています。もちろん一つ一つは単体で販売されています。

個人的な意見では、高トルクの場所では安い物だと耐えれませんね。高トルクじゃなければ、全然問題無くセットで販売されているお得な物でも大丈夫だと思います。

作業工程

※注意点

  • ヘリサートにはそれそれ決められたドリル・タップがある為に、箱に分けるか混ざらない様に、無くさない様にしっかりと保管する事
  • 間違ったドリル・タップを使用すると再起不能になって、修理が出来なくなります。
  • ネジ山が短い箇所は、ヘリサートでの修理が出来ません。(例:ドレンボルト)
  • 高トルクがかかる箇所にはヘリサートの修理は難しい可能性があります。

上記の事柄をしっかりと理解した上で作業を行ってください。

①ヘリサート専用ドリル

まずは、ヘリサート専用ドリルを使用して、残っているネジ山を除去していきます。

これはヘリサートのタップを切る為に、ネジ山を広げる作業になります。

元々あるネジ山を広げるだけなので、特に注意する点はありませんが、真っすぐドリルを使用して下さい。

②ヘリサート専用タップ

上記①で広げた穴に、ヘリサート専用タップを使用して、ネジ山を切っていきます。

ヘリサート用のネジ山を作る作業になります。

これも上記同様に、真っすぐに切っていってください。

③ヘリサート挿入

上記②で作ったネジ山に、ヘリサート挿入工具を使用して、ヘリサートを入れていきます。

注意する点は、ヘリサートを入れる深さです。最後まで入れてしまうと、入り過ぎてしまうので、しっかりと長さを確認してから挿入して行ってください。

④タングを外す

タングを呼ばれる、ヘリサート挿入工具がかかる部分を外します。下記の写真の箇所になります。

このタングを取る事によってネジ山として使用する事が出来ます。

⑤確認作業

上記④で作業が完了となります。

確認作業として、ヘリサートが真っすぐに入っているのかを指定のボルトを入れてみて確認して下さい。斜めになっていれば、やり直しとなります。

高トルクのかかる個所では規定トルクで一度締めてみて、しっかりとトルクがかかるのかを確認して下さい。ヘリサートが抜けてしまったら、残念ですが交換するしかありません。

まとめ

必要工具を揃えて、やり方さえ知っていれば、もしもの時には非常に役に立ちますので、一度挑戦してみて下さい。実際に、現場でこの作業を行う事は正直、年1回あるか無いか程度です。

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