今回は、トラック各部の燃料装置の名称と役割を現役のトラック整備士が解説していきます。※この記事はディーゼル車の話です。
これをしっかりと理解しておかないと、修理する事も故障診断する事も出来ません。
この記事を読む事によって、トラックにおける燃料の流れ・燃料装置の名称・役割をしっかりと理解する事ができて、トラックの燃料関係の修理・故障診断にきっと役に立つでしょう。
では、一つずつ解説していきます。
【燃料の流れ・名称・役割】
まずは、燃料がどういった順序で各部に流れているのかを理解しないと始まりません。
燃料の順番・名称・役割は下記の通りになります。型式・車種等によって、搭載されていない物もあります。あくまでも一般的な燃料の装置の流れになります。
順番 | 名称 | 役割 |
① | 燃料タンク | 燃料と貯めておく |
② | ストレーナー | 大きなゴミを取り除く |
③ | プレフィルター | 中型のゴミと水分を取り除く |
④ | 燃料エレメント | 細かいゴミと水分を取り除く |
⑤ | 燃料ポンプ | 高圧で燃料を圧送する |
⑥ | コモンレール | 高圧の燃料の圧力を保持する |
⑦ | 高圧パイプ | 燃料をインジェクタへ送る |
⑧ | インジェクタ | 燃料室内へ燃料を噴霧する |
一つずつ詳しく解説していきます。
①燃料タンク
燃料を貯めておくタンクになります。これは、乗用車・トラック・バスその他全てのエンジンが搭載されている物にはかかせません。何故なら、これが無いと燃料を蓄えておく事が出来ませんよね。
②ストレーナー
燃料タンクの底に装着されています。
次の装置へ行く燃料パイプが真ん中に通っていて、このストレーナーを通らないと次の装置へ燃料が流れないようになっています。
給油時のゴミや燃料タンク内の錆を取り除いてくれます。
基本的には大きなゴミを取り除いてくれる物になりますので、そこまで頻繁に清掃する装置ではありませんが、古い車や水が混入して燃料タンク内が錆びている車は詰まっている可能性が高いので、要注意です。
③プレフィルター
燃料内の中型のゴミと水分を取り除いてくれます。
主に水分を取り除くのがメインになっている為に、ケースは透明で中が見えるようになっています。水分が混入していればすぐにわかるようになっています。
④燃料エレメント
燃料内の細かいゴミと水分を取り除いてくれます。
プレフィルターよりもフィルターの網目が細かい物になっています。水分が混入していれば、底に溜まるようになっていますが、プレフィルターのように外観から見る事は出来ません。
⑤燃料ポンプ
燃料を吸い上げて、加圧して圧送しています。
燃料の装置の中でこれが一番重要な装置になります。
これは、色々な呼び名があります。燃料ポンプ・サプライポンプ・噴射ポンプ等若干構造が違っている部分のありますが、やっている役割は同じです。
⑥コモンレール
燃料ポンプから圧送された高圧の燃料を保持し、各シリンダーへ分配し、常に燃料を送れるように貯めておく装置なります。
昔の車にはこの装置は搭載されていませんでしたが、今は100%搭載されています。
⑦高圧パイプ
コモンレールより送られた高圧の燃料をインジェクターまで繋ぐパイプになります。
他の燃料パイプよりも高圧の燃料が通っているので、基本的には再使用は不可になっている部品になります。
⑧インジェクター
高圧パイプより送られた来た燃料を燃焼室内へ噴霧する装置になります。
【分類】
まず燃料装置は大きく分けて、2通りに分類されます。
それは、「負圧と加圧」です。
①負圧
負圧になっている装置は、上記で説明した装置の①~④番になります。
⑤番の燃料ポンプによって、燃料タンクより吸い上げられる事によって、①~④は負圧になっています。
②加圧
加圧されて、圧力が掛かっている装置は、上記で説明した装置の⑤~⑧番になります。
⑤番の燃料ポンプによって、燃料が圧送される事によって加圧され、各装置に送られます。
③まとめ
この負圧・加圧をしっかりと理解しておかないと、燃料系統の修理の時に分からなくなります。どの装置がどうなっているのかを頭の中で整理してから故障診断を行うとスムーズに行う事が出来ます。
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