整備士業界は、「きつい・しんどい」仕事を言われていますが、特にトラックの整備士はそれに当てはまりますね。
私自身、乗用車3年・トラック15年以上の経験をしている現役の整備士です。
トラック整備士が「きつい・しんどい」と言われている現状を解説していきます。
「きつい・しんどい」理由
「きつい・しんどい」と言われている理由はいくつかあります。
< 部品が大きい >
なぜ、トラックの整備士は「きつい・しんどい」と言われているのか、その理由は個々の部品が大きくて重い事がまずあげられますね。
タイヤ一つにしても乗用車なら手で簡単に取り付ける事が出来ますが、トラックのタイヤとなるとなかなかそうはいきません。専用の工具や熟練の技があれば可能ですが、1年目・2年目の整備士にとってはそれだけで苦労します。
一つの部品の重さが20kgを超える物もあります。それを持ち上げて車に取り付けなければなりません。なので、パワーが無いと本当に厳しいと思います。
トラックの整備士は体力が無いと続けることが厳しい事から、「きつい・しんどい」とイメージが強いと思います。
< 3K(きつい・汚い・危険) >
トラック整備士に限ったことではないとは思いますが、3K(きつい・汚い・危険)というイメージが一般の人にはあるかと思いますが、その通りですね。
『 きつい 』
上記で説明した通り、取り扱う部品が大きいので乗用車に比べると同じ作業でもきついと思います。
『 汚い 』
それに、トラックは走行距離も多いので、その分車が汚れます。エンジンオイル・ミッションオイル・デフオイル等のオイル類の交換頻度も高いので、その汚いオイルが手や服についてしまいます。
最近では、ビニール手袋を装着して作業を行う事が多いので昔ほど手が汚れる事はありませんが、昔は爪の間や指紋の所が真っ黒になって、洗ってもなかなかおちませんでした。
走行距離が多い分、埃や砂が車体に付着しています。その状態で作業を行うので、軍手を付けていますが、すぐに軍手はドロドロになってしまいます。
『 危険 』
整備を行うのに、トラックをジャッキで上げて作業を行います。車体が重い分それだけで、危険性があります。ジャッキをかける箇所が悪かったら車が傾いてしまい、最悪、ジャッキから落ちてしまいます。
部品が一つ一つ重いので、少しでも力が抜けてしまうと落としてしまって、ケガにつながります。
1週間で擦り傷は、当たり前のようにあります。全くケガの無い1週間のほうが少ないと思います。
毎年、数名の整備士が車に挟ませたり、トラックの下敷きになって亡くなります。腕や指がなくなってしまう整備士の後を絶ちません。
ベテランから新人まで誰にでも危険は伴います。気を付けていても少しの気の緩みで重大災害につながります。
毎日が危険と隣り合わせの職場になっています。
< 勤務時間が長い・残業が多い >
これも、トラック整備士がしんどい理由にあげられますね。乗用車と違って、トラックはだいたい日中仕事で使用していますので、入庫するのが仕事が終わってからの夕方からになったりします。
その時点で、残業が確定しますね。夕方に入庫し、明日の朝まで修理を完了しないとダメな場合が多いので、必然的に残業時間が多くなります。
毎日の仕事量も多いので、なかなか残業時間が減りません。9時から仕事が始って、定時で17時30分。そこから残業して、平均21時ぐらいに終わりますので、会社に12時間いる事になります。
一日の半分を会社で過ごしているので、勤務時間が長く感じますね。それが毎日続くと、さすがに体が疲れて来ます。
< 人間関係 >
これは、どこの職場でもあることだとは思いますが、整備士はその工場の規模と人数にもよりますが、だいたいチームで仕事を行います。
3~4名ぐらいのチームに分かれて、仕事を行います。
その中でチームをまとめる班長と呼ばれる人によって、良し悪しが決まります。12時間程一緒に仕事をするので、その班長と気が合わなかったりしたら、最悪です。
ただでさえ、身体がしんどいのに人間関係が悪いと心もしんどくなりますからね。
昔は本当に私の会社もひどかったと思いますが、今はマシにはなったと思いますが、まだまだ体育会系な所が残っています。
「 まとめ 」
正直、整備士じゃなくても上記であげたような事は、他の会社でもたくさんあるとは思います。
整備士は、労働時間が長くて、残業が多くて、3Kで、パワーがいるので体がしんどくて、人間関係が大変な職種ではあります。
全てのトラック整備工場が上記のような所では無いとは思いますが、少なくてもだいたいの整備工場はこんな所だと思います。
私は、15年以上トラックの整備士をしていますが、若い頃は良いのですが、40歳を超えてくるとさすがにしんどくなって、20代の頃のようには体も手も動かなくなってきましたね。
これから、トラック整備士になろうと思っている人は、上記以上の事を覚悟の上で就職して下さい。お勧めはしませんが、手に職はつきますので、頑張って下さい。
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