大型車に限らず、自動車整備士・二輪車の整備士をしている人なら一度は使用した事がある工具や特殊な工具を紹介したいと思います。
これから整備士になる人やどの工具を使用したら良いのか分からない人は、この記事を参考にして購入を検討してみて下さい。
私自身は、約20年乗用車やトラック・バスの整備士をしている現役の整備士になります。(経歴)
では、色々と紹介していきたいと思います。
【工具台車】
まずは、工具台車が無いと購入した工具をしまっておくところがありません。
整備士の工具台車は結構色々なタイプがあります。
[キャスター付き]
工場が広くて、台車ごと移動出来るのであればこれに限りますね。
引き出しに工具を収納出来るので、整備をするところまで台車で行きそのまま整備をする事が出来ます。
台車の上も作業が出来るスペースになっているので、取り外した部品を上において作業が出来ます。
[工具箱]
工具箱は引き出しがあって、色々な工具を収納出来る物になります。
工具箱によって、3段の物や4段・5段の物があります。
今後、工具を増やそうと思っているなら段が多いほうが良いと思います。
工具箱を上記で説明したキャスター付きの台車の上に乗せる事が出来ます。それによって、キャスター付き工具台車になります。(結構、やっている整備士は多いです)
[両開き型の工具箱]
最後に、そこまで工具は揃えないのであればこれでも十分かと思います。
私の会社の初期の支給はこの工具箱に多少の工具入っているのが支給されます。(大型車の整備では全く足りませんが・・・。)
がっつり整備をしないのであれば、これでも十分だと思います。
【ソケット系】
ソケットには色々な種類が有り、その全てを揃えようとしたら途方もない数になってしまいます。
同じ工具でもメーカーによってその長さが若干異なったり、サイズが違ったりします。
差込角も6.3sq・9.5sq・12.7sq・19.0sq・25.4sqの5種類があります。
形状は六角・十二角・ヘキサゴン・T型トルクス・E型トルクス・スタッドボルトリムーバー等があります。
長さは、スタンダード・セミディープ・ディープ・ロングディープがあります。
一概にこの工具が良いという物は無いです。自分が使いやすい工具を選択するのが良いと思います。
安いソケットだとすぐに割れたり、なめたりしますので、色々なメーカーを調べてみて値段と相談して下さい。
では、実際に工具を紹介していきます。
[ソケットレンチ]
数多くの種類があり、一番小さいサイズで3.2mm、一番大きいサイズで100mmがあります。
一般的に使用頻度が多いサイズは8mm~24mmになると思いますが、それ以上のサイズも整備工場なら1つは必要になってくると思います。(私の工場では、確かMAX75mmまであると思います)
上記のようなセットで購入するもアリですし、単品で一つずつ購入するもありだと思います。
インパクトで使用するならインパクト用の工具を購入した方が良いですね。上記の物でも使用できますが、インパクト用では無いのですぐに割れてしまう可能性が高いです。
[ヘキサゴンレンチ]
自動車には六角で締まっているボルトがあります。それを緩める時に使用します。
ロング・ショートのタイプがあったり、先端がボールジョイントのタイプがあったりします。
[トルクスレンチ]
T型とE型が存在します。
T型とは、車では一般的に容易に分解されないようにコンピューターやエアバック・シートベルト等に使用されています。
E型は、スタッドボルト等に使用されています。
トルクスタイプはしっかりとサイズが合った物を使用しないと損傷してしまい、取り外す事が困難になってしまいますので、注意が必要です。
[変換アダプタ]
この工具があれば、工具の選択の幅が広がりますね。
9.5sq→12.7sqに変換したり、その逆だったりと差込角に関係なく工具が使用できます。
この工具があれば、必要以上に工具を購入する事もなくなります。
[クローフットレンチ]
クローフットレンチはメガネの一度が切れたような工具になっていて、フレアナットや配線が付いているセンサー等を取り外すときに使用する工具になります。
自動車においては、特によく使用する頻度が多いのが上記の22mmの工具になります。NOxセンサーやO2センサーの取り外し時に使用します。
[エクステンションバー]
延長の工具になります。これ自体では何も出来ない工具でソケットと組み合わせて使用します。
[その他]
上記以外にもあまり使用頻度は少ないですが、持っていると便利なソケットがあります。
ユニバーサルジョイントやスタッドボルトリムーバー等がありますね。
【ハンドツール】
[ラチェット]
ラチェットは上記のソケットレンチと組み合わせて使用します。主に、ボルト・ナットを緩めていく為の工具になります。
ラチェットにも種類があり、普通のストレートのタイプや首振りのタイプ・フレックスタイプ等などがあります。
その用途によって、どの工具を購入するかを決めたら良いと思います。
私はSnap-onの首振りのラチェットとKTCのストレートのラチェットと持っています。人によっては、3つも4つも持っている人もいますね。
[スピンナーハンドル]
これもラチェット同様にソケットレンチと組み合わせて使用する工具になります。
ラチェットと違うのは、強く締まっているボルト・ナットを一発目に緩めるのに使用します。
これも長さは色々とありまして、メーカーによっても若干長さは異なっています。
長ければそれだけ強いトルクがかけられますが、狭いスピースには入りませんので、自分にあったスピンナーハンドルを探して購入しましょう。
[コンビネーションレンチ]
メガネやスパナといった工具になります。
両端がメガネのタイプやスパナとメガネのタイプがあります。
角度付きやストレートタイプもあり、その種類はソケットレンチと同じくらいあると思います。
S字やフックタイプもあり、種類も豊富に存在します。
人によって、揃える工具は違ってきますね。だいたい、スパナセット・メガネセット・コンビネーションセットの3種類を揃える人が多いと思います。
そして、ギヤレンチ。これが無いと仕事がマジで出来ませんので、絶対に購入しましょうね。
[アジャスタブルレンチ]
モンキーレンチやパイプレンチといった工具になります。
調整して任意のサイズにし、使用します。
パイプレンチはあまり使用する機会は少ないと思いますが、これが無いとサイドスリップの調整が出来ないと思います。主にタイロッドを回す際に使用するとは思います。
【ドライバー】
ドライバーにはプラス・マイナスドライバー、貫通タイプ、四角・丸タイプ等があります。
[ドライバー]
一般的に4種類のドライバーが存在します。
上記のセットを購入するば問題無く仕事は出来ると思います。
[貫通ドライバー]
貫通タイプとは柄の後ろが叩ける構造になっているので、ボルト・ナットに衝撃を与えて取り外す際に使用します。樹脂タイプのドライバーだと叩くと割れてしまいます。
[インパクトドライバ]
強く締まっているネジや緩まないネジを緩める際に使用します。
ハンマーで叩いた力を回転力に変える事が出来るドライバーになります。
【プライヤー・ペンチ・ニッパ・その他】
[プライヤー・ペンチ・ニッパ]
つかんだり・切断したりする工具になりますね。
上記のセットをとりあえず購入するば、大丈夫かと思います。
それぞれの工具には若干の違いがあり、長かったり、小さかったりしますので、自分好みの工具を探して購入するのもよいでしょうね。
[ウォータポンププライヤ]
大径のパイプや配管をつかめる工具になります。
車では燃料エレメント・オイルフィルター等を取り外す際に使用する事が多いですね。
[スナップリングプライヤ]
スナップリングの脱着に使用する工具になります。直型・平型・曲型の3種類があります。
[バイスプライヤ」
物をくわえた状態で固定出来る工具になります。
板金・溶接作業をする際やホース挟んだりするのにも使用出来る多種多様な用途に活用出来る工具になります。
[ハンマー]
ハンマーは片手ハンマー・普通のハンマー・中ハンマー・大ハンマーがあります。
[タガネ・ポンチ・スクレーパー]
タガネはそこまでの使用頻度はありません。3カ月に1回程度の頻度ですかね。それでも無ければ困る時があります
ポンチはドリル等を使用する際に使います。
下記のスクレーパーだとなかなか取れないガスケットやパッキンがキレイに取れますよ。
【エアツール】
エアツールは整備士にとってなくてはならない必須の工具になります
[エアラチェット]
正直、整備士で一番使用するのがこの工具になるかもしれませんね。
この工具は安い物だと1年持たずに壊れてしまう事があるので、しっかりと選んで購入する事をお勧めします。
私は、MACのエアラチェットを購入してそれを15年以上使用しています。
何回か故障してオーバーホールをしてもらって使用しています。
後輩とかは、安いエアラチェットを購入したばっかりに、半年も持たずに壊れてその度に購入しています。
最初からそれなり良い工具を購入するば、長く使用出来るのでその分安く済むと思います。
[エアインパクト]
エアインパクトは高い物はトルクが大きく、安い物はトルクが小さいという感じですね。
大型車の整備をするならそれなりに大きなトルクが必要となってきますので、注意して購入しましょうね。
[中・大インパクト]
中・大インパクトは大型車のホイールナットを緩めるときや、大きなボルト・ナットを緩める際に使用します。
乗用車の整備では使用した事はありません。
【電動工具】
最近では、エアツールよりも電動工具を使用している整備工場も増えてきたとは思います。
電動工具については過去に詳しく紹介しましたので、そちらを参考して下さい。
【まとめ】
ここまで紹介した工具以外にもまだまだ、工具の種類はありません。
特殊工具について知りたい方は、こちらをクリックしてください(過去の投稿へ飛びます)
上記の工具を全て揃えても、整備するにはまだまだ完ぺきではありません。
それだけ、多種多様な工具が必要な職業が整備士になります。
しかし、少ない工具でいかに作業を行うか、効率よく行うか、は整備士の腕にかかっています。
高い工具が良いとは限りません。安くても使い勝手の良い工具はたくさん存在します。
高い工具ばかり、揃えている整備士は経験上、そんなに整備士の腕は良くない感じはしますね。
これから、整備士を目指す人はまずは、整備士の腕を磨いて、そのうえで自分に必要な工具を揃えていくのが一番良いと思います。
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